ブログ:腰痛学校②

腰痛を治すために大切なのは
「運動」と「いい気分」ということについて、
伊藤かよこ著「腰痛学校」の内容に沿って、
もう少し詳しくお話しをしていきます。

この本の基本は認知行動療法です。
つまり、いかにして「思い込み」と「行動」を
変化させることで、
腰痛を治すのかということです。

腰痛の人に、真正面から
運動しろとかいい気分になれと
言っても無理です。

たいていの人は、
そんなことが腰痛にいいなんて、
これっぽっちも思っていないどころか、
かえって腰痛を悪化させるだけだと
思っているからです。

この本は、主人公を含む6人の腰痛患者が、
8週間の腰痛プログラムを受けて、
その過程で色々な体験をしながら、
各々が腰痛を克服していくという
物語によって構成されています。

この本がうまいなと思うのは、
腰痛患者の思いをしっかり受けとめながら、
さりげなくその気にさせる手法が
至るところに散りばめられているからです。

先ずこの本は、
腰痛に対する「思い込み」を
緩め、外すことについても
先ず痛みを感じる仕組みから入っています。

人は、脳で痛みを感じるのですが、
その仕組みは複雑です。
痛みに関する脳内ネットワークは、
腰痛とか痛みといった
「言葉」「イメージ」「記憶」「予想」等に
反応、興奮し、痛みを強化します。

つまり、腰痛を治そうと思えば思う程、
腰痛のことを考え、腰痛に意識が向くため
痛みが強化され、ますます治りにくくなるという
悪循環に入っていきます。

だからこそ、腰痛から意識を離すために、
いい気分に意識を向ける練習が
必要になるのです。

いい気分になり、
安心、リラックス、楽しい、ワクワクを
たくさん感じることで
脳のネットワークの一部である
「報酬系」が活性化し、
それが痛みを軽減させるのです。

つまり、いい気分になることが
治療になるのです。

そのためには、参加者のみなさんに
「すでに治ったとしたら何をしている?」
という質問に答えてもらったり、
毎回講義の最初に「ハッピー&ニュー」の発表、
つまり、この一週間であった
「いい気分になった話」と
「何か新しいことに挑戦した話」について
語ってもらったりします。

また、「腰に負担がかかると強くなる」
「腰痛は治っても治らなくてもどっちでもいい」
「先ずは1秒だけ痛みをコントロールしてみる」
といった、
「思い込み」を変えるための様々な手法が
参加者や先生の言葉や話として出てきます。

もちろん、今まさに腰痛が起こっているときとか、
激痛が走ったときの対処法にも触れています。

その時は、先ず落ち着くことです。
激痛は脳の暴走、
つまり脳がパニックになることであり、
そこには不安や恐怖が関係しています。

とにかく突然起こる激痛は
腰がつったようなものだと知ること、
とりあえず落ち着いて
やるべきことをやればよいのです。

やるべきこととは、
身体の一部をゆっくり揺らし動かすことです。
痛くて足が動かせないときは、
手だけでもよいのでグーバーするなりして
とにかくじっとしていないで
からだの一部をリズミカルに動かすというのが
腰痛に対する対処のポイントです。

もっとも痛みの真っ最中にいるときは、
どうしても痛みに
「巻き込まれて」しまい
パニックに陥ってしまいがちです。

だからこそ普段から、
痛みを主観的に「感じる」のではなく、
客観的に「観察する」という練習が
大切になってきます。

痛みと自分とを切り離して、
淡々と観察することができるようになると、
痛みに振り回されることなく、
冷静に対処することができ、
痛みも軽減させることができるのです。

その際、痛みに名前を付け、
痛みと対話をするという
外在化テクニックも有効です。

また、口角を上げて笑うまねをするだけでも、
脳はいい気分になったと錯覚し、
痛みを鎮める方向に機能し始めます。
これは、形から入って
心に影響を及ぼすというやり方です。

またこの本では、「特別な治療法」についても
述べられていました。
主人公の由衣が、突然の激痛に襲われ
全く動くことができなくなってしまったときに
佐野先生に助けを求めて電話をするのですが、
その時に言われたのが「特別な治療法」でした。

何をするのかについては
本を読んでからのお楽しみです。
私もこのアプローチを、
患者さんに時々使っていました。
一般の人が思いもよらない、
まさに「特別な治療法」なのです。

他にもいろいろ有用なことが書かれていますが、
要は、学習や体験から、
腰痛に対する間違った「思い込み」を
いかに修正していくのかということです。

それができれば自ずと腰痛は治り、
再発もしにくくなり、
たとえ再発しても
十分に対応できるようになるというわけです。

腰痛で悩んでいる方は、
ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

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