私たちの判断や決断、行動を決めているのは
ほとんどの場合、意識ではなく無意識です。

ここでいう意識とは
合理的な思考に基づく判断であり、
無意識とは、はっきりした理由や根拠もなく、
なんとなくとか、知らず知らずのうちに
行っている判断や行動のことを言っています。

例えば、デパートの試食コーナーで
試食した人の4人に1人は、
その商品を買うと言われています。

なぜ買うのか、
そこには合理的根拠は何もありません。
たいていの場合は、
買うつもりも買う必要性もないものばかりです。

にもかかわらず、
たまたま声をかけられ、
「なんとなく」試食してしまった結果、
食べただけでそのまま立ち去るのも
申し訳ないなあという思いが、
「知らず知らず」のうちにわき上がり、
とりあえず一個くらいならいいかと思って、
買ってしまう、といった具合です。

これが「無意識」による判断と行動です。
このようなことは日常において、
小さなことまで入れると、
毎日、何万回もされていると言われています。

無意識の働きの中で、
特に影響が大きいのが
「感情反応」によるものです。
これは感情が絡む無意識の判断のことであり、
何となく好きとか、なんか嫌いというのは、
すべてこの感情反応による無意識の判断です。

この無意識の働きは、
合理的、客観的な判断が必要とされる場合でも、
知らず知らずのうちに働き、
判断に影響を及ぼしてしまいます。

例えば、軽犯罪を犯した男性の犯人の場合、
イケメンの人は、そうでない人よりも
刑務所に入れられる数が半分になることが
知られています。

さらに女性の犯罪者の研究もあります。
例えば、窃盗犯で捕まった場合、
美人はそうでない女性よりも刑期が短くなり、
詐欺で捕まった場合、
美人はそうでない女性よりも
刑期が長くなることがわかっています。

同程度の犯罪であれば、
当然、刑期の長さは同じになるはずなのです。
にもかかわらず、
明らかに刑期の長さが異なるのは、
陪審員や裁判官の、
「感情反応」という無意識の判断が働き、
結果を左右したのだと考えられています。

どういうことかと言うと、
美人が窃盗を働くということは、
よほどの辛いことや
苦しい事情があったからに
ちがいないという思いから、
「なんとなく」同情の気持ちがわき上がり、
「知らず知らず」のうちに
刑期を短くしてしまうという無意識の判断が
働いてしまうのです。

逆に詐欺の場合は、
自分の美貌を利用して人を騙すなんて、
許せないという心理が
「知らず知らず」のうちに働き、
それが刑期を長くしてしまうという判断に
つながるというわけです。

このように、
人は合理的、客観的に物事を判断しなければ
ならない場合ですら、
無意識の働きの影響を排除することはできず、
また、その事実をほとんどの人は
「意識」していないというのが、
無意識の影響力のすごいところなのです。

だからこそ、
人とコミュニケーションを取る場合も、
意識に働きかけるよりも
無意識に働きかける方が、
ずっと影響力を与えることができるし、
「知らず知らず」のうちに
人を動かしてしまうこともできるのです。

このことについては後日また
詳しくお話しさせていただきます。