ブログ:運動が脳を変える

先日、精神科医である
アンダース・ハンセンの著書
「DRAIN 一流の頭脳」(サンマーク出版)を
読みました。

とても勉強になったので、
ここでその内容の一部を紹介させて頂きます。

昔は、脳の神経細胞は大人になったら
新しい細胞が増えることはなく、
どんどん死滅していくだけだと
言われていました。

しかしこの学説は間違っていることがわかり、
今では死ぬまで脳の神経細胞は
増えるということがわかっています。

特に記憶に重要な役割を果たしている
海馬と呼ばれるところの神経細胞は
活発に細胞の入れ替えが行われています。

また、ひとつの神経細胞からは
何万という枝が伸びており、
それがまた別の神経細胞とつながっています。

脳には1000億個以上の細胞があり、
そのつながりの総数は少なくとも
100兆はあると言われています。

あまりの数の多さに、どれくらい多いのかすら
イメージできない程の数です。

その神経細胞がつながることで、
新たな神経回路が生まれ、
それが強化されることで
意識しなくても車の運転ができるようになったり、
楽譜を見なくてもピアノが弾けるように
なったりするのです。

もちろん脳の働きはこれだけではありません。
記憶力や集中力、感情のコントロール、
ストレス対処、意欲、
発想力、学力といったものもすべて
神経回路のつながりの強化によって
その力を高めることができるのです。

では、この神経回路のつながりを促すためには、
つまり脳に変化をもたらし、
最高のパフォーマンスを実現するためには
どうしたらよいのでしょうか。

そのもっとも効果的な方法が運動なのです。
それも20分~30分のウォーキングや
軽いジョギング程度でよいのです。

例えばストレスへの対処について
見てみることにしましょう。

人は、様々な出来事でストレスが貯まると
ストレス物質であるコルチゾールが
副腎から分泌されます。

ある研究では、
30分のサイクリングをしたブループと
心拍数が増えない程度の
軽い運動を行ったブループに対して、
運動後にとてもストレスがかかるテストを行い、
その反応を見たところ、
サイクリングをしたブループの方が、
コルチゾールの濃度が低かったという
結果が出ました。

これは運動習慣の有無には関係なく、
どんな人でも事前に運動すれば、
その後に生じるストレス反応を
鎮めることができるということです。

もっとも、運動をしても
コルチゾールが分泌されるのですが、
運動が終われば、コルチゾールの分泌量は
運動を始める前のレベルにまで下がります。

さらに定期的に運動をしていると、
運動以外のことが原因でストレスを抱えていても、
コルチゾールの分泌量は僅かしか上がらなくなります。

つまり、運動を定期的にすることで、
ストレスに対して過剰に反応しないようになり、
ストレスに対する抵抗力が高まってくるのです。

さらに面白い?実験があります。
健康人に注射をすると、
パニック発作と同様の発作を引き起こす
CCK4という物質がありますが、
これを6人の被験者に注射しました。

すると、その6人は全員、
パニック発作と同様の恐怖を
味わうことになりました。

その後、今度は30分程の運動をし
その後にCCK4を注射しました。
すると今度は1人を除いて、
誰もパニック発作を起こさなかったのです。

さらに以前パニック発作を起こした経験のある
被験者に対して、
少ない量のCCK4を使って
同様の実験も行われています。

その際12名のうち
9名がパニック発作を起こしましたが、
予め運動をすると、
発作を起こしたのは4名に減り、
その症状も以前に経験したほど
激しいものではなかったとのことでした。

このように、運動は
不安やストレスを軽減させ、
さらにはストレスに対する抵抗力を
高めることが明らかになっています。

皆さん、運動が脳や心に対して
こんなに影響があるなんて驚きませんか?
次回は、この続きで、
やる気や集中力の話をさせて頂きます。

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