医療の現場では、
常に人の生死と向きあいながら、
日々の治療やケアをしています。

人の命が関わることを日々しているため、
当然のことながら真剣に取り組む必要があり、
また責任も重大です。

ただその一方で、
一生懸命になりすぎてしまい、
バーンアウトしてしまう医療者も
少なからずいるのも事実です。
特に看護師にその傾向が強いと言われています。

何事に対しても、
一生懸命に取り組むことは重要です。
しかし、同じ一生懸命と言っても、
何に取り組むか、
どのように取り組むかにより、
実は大きな違いが生じます。

一般的な仕事でも研究でも物作りでも
自分が好きでやっていることは
一生懸命に取り組むでしょうし、
多少の失敗があったとしても、
それにめげずにさらに頑張るということも
可能かと思います。

ところが、それが医療となると、
話は少々複雑になります。

医療の場合、
一生懸命に取り組む対象は患者さんです。
治療やケアにより患者さんが喜んでくれたら、
医療者もうれしさを感じますし、
逆に、患者さんや家族が落ち込めば、
医療者も滅入ります。

ましてや、一生懸命に治療やケアをして
それなりの「つながり」ができた患者さんが
亡くなった場合には、
ショックや悲しみを感じないわけがありません。

特に、患者さんの辛さや悲しみを
自分のことのように感じてしまう
共感性の強いナースは、
患者さんが亡くなったときの悲しみは、
かなり大きなものがあります。

そのようなナースが、
たくさんの患者さんの死に直面すると、
バーンアウト、つまり燃え尽きてしまう可能性が
高いことがわかっています。

一方、一生懸命に患者さんに
尽くすことをしながらも
バーンアウトしないナースもいます。

それは、ケアをすること自体に
楽しみや喜びを感じられるナースです。

そんなナースは、
たとえ患者さんが亡くなったとしても、
悲しみがある反面、
自分は十分なことをしてあげられてよかったと
満足感も持つことができるので
バーンアウトすることが少ないのです。

両者の違いは、
患者さんとの距離感にも表れます。

共感性の高いナースは、
思いやりの気持ちが強い反面、
患者さんとの適度な距離感を保ちにくく、
そのため患者さんの思いや感情に
巻き込まれてしまう傾向にあります。

それがまさにバーンアウトの
大きな要因にもなっています。

一方、バーンアウトしにくいナースは、
患者さんとの距離感を
うまく取りながらかかわることができます。

つまり、患者さんの気持ちに寄り添いながらも
必要に応じて俯瞰的、客観的な見方もできるので
患者さんに巻き込まれることも
少ないというわけです。

物事に一生懸命になることはとても重要ですが、
全てにおいて一生懸命になってしまい、
その結果自分がつぶれしまっては本末転倒です。

バーンアウトしないためにも、
何に対して、どのように一生懸命取り組むのか、
その点をしっかりと押さえておくことが
医療現場では大切になってくると
私は思っています。