前回紹介した
「医療現場の行動経済学」(東洋経済)の中に、
「女性医師が担当した患者さんは、
男性医師の担当患者さんに比べ死亡率が低い」
というテーマについて書かれた章がありました。

これはなかなか面白かったです。
先ず大前提として、医師はどれくらい
適切な医療行為をしているのか、
それについて調べた論文が紹介されていました。

それによると、
患者が病気になって病院を受診した場合、
適切な医療を受けていた患者さんの割合は
わずか55%だったというのです。

これは2003年に発表された
アメリカの病院での話です。
日本でも同様の研究が行われており、
同じような結果が得られており、
胃がん患者の治療において見た場合でも、
適切な治療が提供されていたのは
68%だったというのです。

つまり、全ての医者が
適切な医療を提供しているとは
限らないということです。
これは、適切ではない治療を受けたために、
命を落とすこともあるということを
意味しています。

医者も一人の人間ですから、
そんなことは当たり前だと思うのですが、
一般の人からすると意外かもしれません。

ちなみに、ここで言うところの適切な医療とは、
各学会等で決めらた
ガイドライン(治療指針)に基づいた治療が
なされているか否かと言うことです。

さあ、これからが本題です。

実は、内科の病気で入院になった場合、
担当医が女性医師である患者さんの方が、
男性医師である患者さんよりも
死亡率が低いことが明らかになっています。

これは2011~2014年に
アメリカの病院に緊急入院した
65歳以上の高齢者、約130万件の
入院データを解析した結果ですので
信憑性はあると思われます。

なお、患者さんの重症度の影響を
取り除いた場合でも同じ結果でした。

この背景には、
性差による思考や行動のパターンの違いが
影響しているのではと言われています。

一般的に女性は男性よりも
リスク回避型だと言われています。
裏を返せば、男性は女性よりも
自信過剰だと言うことです。

つまり、女性医師は男性医師よりも
ガイドラインに忠実で適切な医療行為を行い、
患者さんの話もきちんと聞くというのは、
女性がリスク回避型だからだと
筆者は述べています。

ただ私は、それだけではないと思っています。
実際には、患者さん側の医師に対する信頼感、
つまり医師患者関係の要因も
死亡率に影響を及ぼしているのではと
考えています。

信頼関係要因が
治療効果に及ぼす影響については
たくさんの研究がありますし、
信頼関係が死亡率にも影響を及ぼすことだって
当然あってもおかしくないと思うからです。

さらに信頼関係には、
外見も影響を及ぼすことが知られています。
美人やイケメンの先生の方が、
患者さんの気持ちがウキウキ?する分、
自己治癒力が向上し、
病気の治りもよくなるというわけです。

当然、お気に入りの医者であれば
信頼関係もそれなりに築くことができます。
もちろん外見だけが
影響を及ぼすわけではありませんが、
外見も少なからず
影響を及ぼす要因であることは事実です。

ただし医者が美人やイケメンのとき、
治療結果にどのような影響があるかという研究は
倫理的な問題?もあり、
実際にはしにくいであろうことは
想像に難くありません。

記憶は定かではないのですが、
以前、アメリカでは
イケメン外科医はそうでない外科医と比べて
手術がうまいかい否かといった研究が
あったような気がするのですが、
今回改めて調べてみましたが、
見つけられませんでした。

読者の皆さん、もしその論文を見つけたら
是非、教えて下さい。

病気の治癒率にせよ死亡率にせよ、
適切な治療をしているか否かは
確かに重要な要因のひとつですが、
それだけが全てではありません。

私のような、心理的要因が治療に及ぼす影響に
とても関心を持っている人間にとっては、
医者の人間性や雰囲気、コミュニケーション能力、
それに伴う医者患者関係、
さらには患者自身の自己治癒力の強さや
それに影響を及ぼす
「つながり」や「きっかけ」の存在の有無、
そういったものが少なからず
治療効果には関係していると思っています。

できれば、そのような要因も含め、
何が治癒率や死亡率に影響を及ぼしているのか
その点を研究してくれる人が出てくるのを
私は切に願ってやみません。