人の心には意識と無意識があり、
その大半は無意識が支配しているということは
よく知られている事実です。

その概念はしばしば、氷山の絵に例えられます。
つまり、海面から見えている
氷山の一部分が「意識」であり、
海面の下に潜って見えない大半の部分が
「無意識」というわけです。

潜っていて見えなくても、
無意識はしっかりと意識とつながり、
考えたり判断したりする上での
重要な情報源になっています。

私たちの日常の行動は
一部の意識による判断と
大半の無意識による判断により
成り立っています。

例えば、計算をしたり
論理的思考をしたりしているときなどは
意識が中心的な役割を担っていますが、
朝起きてから職場に行くまでの行動といった
毎日しているような習慣的行動などは
無意識が中心となって働いています。

人は、何か行動や判断をしようとすると、
無意識はそれに関連する情報を探しだし、
意識に上げてきます。

また外部から役立ちそうな情報が
入ってきた場合も、
無意識はそれを取り込み、
必要に応じて意識に上げてきます。

逆に自分にとって役に立たない、
もしくは不都合だと無意識が判断した情報は
意識には上げてこないか、スルーします。

例えば、上司が傲慢で自分勝手だから
嫌いだと思っている部下がいたとしましょう。

その上司にまつわる
過去の嫌な体験などの情報は
ちょっとした日常の刺激で
無意識から引きだされ、
容易に意識化されるため、
すぐに思い出せます。

また、上司の毎日のように起こる
嫌な言動やネガティブな噂などは
すぐさま無意識にインプットされ、
嫌な上司という「思い込み」を
さらに強化していきます。

逆に、上司は仕事に対して
とても熱意があるとか、
専門分野における知識が
際立っているといったポジティブな情報は、
その部下が思っている嫌な上司という認識に
反する情報なので、
無意識は、意識に上げるべき情報だとは判断せず、
そのまま無意識の中に留めおいてしまうため
ほとんど認識されることはありません。

もちろん、嫌な上司という認識も、
今までの嫌な経験や思い、
ネガティブな情報が無意識に蓄えられ、
それらが事ある毎に意識に送り込まれた結果、
「嫌な上司!」という「思い込み」が
形成されたにすぎません。
つまり「思い込み」とは
無意識の産物なのです。

ただし、一度出来上がって
しまった「思い込み」を変えるのは
そう簡単なことではありません。

それこそ、その「思い込み」を切り崩すような
かなりインパクトのある体験があるか、
無意識に対して少しずつ
ポジティブな情報を刷り込み
内側から「思い込み」が
緩んでくるのを待つかです。

前者は、意識してできることではありませんが、
後者は、自分が意識的にやることが可能です。

ただし、そこには重要な大前提があります。
「嫌な上司!」という「思い込み」を
変えたいという思いがあるか否かです。

「こんな上司、嫌い!」と思っていても、
それがさほど問題にならないのであれば、
その思いをあえて変えたいとは
思わないでしょう。

しかし、そんな思いを抱いているために、
だんだんストレスが溜まり、
自分が病んできたのがわかるとか、
しばしば上司と対立するため、
仕事にも悪影響が出てきてしまったとなると
ちょっと考え始めるのではないでしょうか。

そのように、
何とかしなくてはという思いが
出てきたときがチャンスなのです。

人はそこそこ追いつめられない限り、
なかなかその気にならない生き物です。

自分の「思い込み」を変えたいと思うのも、
時期やタイミングがあります。
先ずはその時期が来るのを待つ、
それまではそのまま置いておく、
それでいいのです。