先日、京都にある
サントリー山﨑蒸留所に行ってきました。

ここでは様々なウィスキーの試飲ができたので
(もちろんサントリーの銘柄だけですが)、
メニューの中から響(ひびき)を注文しました。
それも一番高価な響30年と、
次に高価な響21年の二つを試飲しました。

どれも1杯15mlのみですが
全てストレートでの飲み方になっています。

記憶は定かではありませんが、確か
響30年は、1杯2,900円で、
一方の響21年は1杯700円でした。

値段が4倍も違うので
どれくらい味が違うのかを
試してみたかったのです。

ところが、飲んでみてびっくり、
全く違いがわからないのです!

まろやかな舌触りと、
口の中に広がる芳醇な味わい…なんて、
格好いいことはなんぼでも言えますが、
実際には、どちらが美味しいのか
何度試してもわかりませんでした。

これだったらもっと安いものを飲んでも、
あまり変わらないなと思いました。

そう言えば以前、結婚記念日に妻と
ステーキを食べに行ったことがありました。
目の前の鉄板で焼いてくれるのですが、
お店の人の勧めもあり、
A4等級とA5等級の肉の食べ比べをしました。

お店の人曰く、食べたら一目瞭然で、
そのおいしさの違いがわかると言うのです。

それで試しに食べてみました。
すると確かに、A4とA5とは
味が違うことがわかりました。

ところがです!
どちらがA4でどちらがA5なのかが
わかりませんでした!
妻にたずねると、
彼女もわからないとのことでした。

ですから、響30年と21年の
味の区別がつかなくても、私のバカ舌では
ある意味、当たり前なのかもしれません。

このことは味だけではなく、
音楽や映画、絵画でも同様のことが言えます。
専門家が見たり聞いたりすれば、
すばらしい作品か大したことのない作品かは
すぐにわかるのかもしれませんし、
第一、着目するところが
素人とは全く違うと思います。

私の場合だと、心理療法についてなら
ある程度専門的な視点から
見ることができるので、
講演なんかを聴いていても、
この先生は本当によくわかっている人だなとか、
この先生は知識だけで、
実際の経験はあまりなさそうだなということは
ある程度はわかります。

しかし、一般の人が聴く限り、
すばらしい話だった、
きっと心理療法も上手なんだろうと
思ってしまうのだと思います。

病院でも時々学生実習があるのですが、
その時は、外来見学もしてもらいます。

そんな時は、
あえてブリーフセラピーを使って、
患者さんの悩みや問題を解決します。

学生が見ているので、
できるだけ様々なテクニックを使い、
問題解決を図るようにします。

今日は結構うまくいったと思って、
終了後、学生に感想を聞くと、
「先生は患者さんの話を
よく聴いているなと思いました」
といった感想しか出てきません。

素人の人から見たら
普通の会話にしか見えないので
致し方ないのですが、
その意味ではプロと素人の視点は
全く違うということを
改めて痛感させられました。

このように、味や音、香りにせよ、
また専門分野の知識にせよ、
それなりの経験に基づいた、
微妙な違いを敏感に察知できる感覚が
あるか否かがプロと素人の
違いなのではないでしょうか。

その意味では、
肉やウィスキーの味に関して
全くの素人である私が、
その違いがわからなくても当然だと、
自分で自分を慰めることにしました。