前回はプロスペクト理論に絡め、
抗がん剤治療をしている患者さんに
「治療の中止」を伝えた際の、
患者さんの心の状態についてお話しをしました。
今回はその続きです。

患者さんの中には、
抗がん剤治療はがんを治すものだと
思っている人も少なくありませんが、
一部の例外を除き、
実際は治すための治療ではなく、
延命のための治療です。

つまり、手を替え品を替えして治療を続け、
最終的に使える抗がん剤がなくなるか、
もしくは、副作用のためにこれ以上
抗がん剤が使えないという状態になった段階で
治療は終了となります。

そうなった段階で、
主治医は、抗がん剤治療の中止を
患者さんに伝えるのですが、
前回のプロスペクト理論が示すように、
患者さんは、もしかしたら奇跡が起きて、
またよくなるかもしれない
という思いを捨てきれず、
リスクを覚悟で
抗がん剤治療の継続を希望する人が
少なくありません。

それにもかかわらず主治医から
「治療はできません!」と強く言われ、
やむなく治療の継続を断念するという患者さんも
たくさんいます。

患者さんの体力的なことを考えると、
その選択は間違いではないと思いますが、
患者さんの気持ちを考えると、
そうは言われてもなかなか諦められないというのも
十分に理解できます。

そんな患者さんが緩和ケアを紹介され、
私のところに来ることがよくあります。
私はそのような患者さんには、
本人や家族の意向を十分に聴いた上で、
まだ諦めたくないという思いが強い場合は、
治療的代替療法を勧めることにしています。

治療的代替療法とは、
免疫療法をはじめとする
がんの治療を目的とした代替療法です。
ただし、まだ正式に認められていないものが多く、
そのため患者さんが自費で
その治療を受けることになります。

免疫療法にはたくさんの種類があります。
かなり高額なものも多く、
1クール数百万円というものもありますが、
一方で、有効性に関しては
まだ十分に認められていないというのが現状です。

私は患者さんが希望した場合は、
よく丸山ワクチンを勧めます。

これは40日分で1万円弱ととても経済的であり、
なおかつ皮下注射なので、
かなり状態が悪くなっている患者さんに対しても
使うことが可能で、
かつ副作用もほとんどないからです。

私が治療的代替療法を使う目的は、
がんを治すためでも
延命を期待しているわけでもありません。
ただ、患者さんの諦めたくないという気持ちを
支えるために使っています。

実は、外科や内科でも、
希望を支えるためだけの目的で
効かないとわかっている抗がん剤治療を
続けるということがしばしばあります。

それは、先程も言ったように、
主治医が、抗がん剤治療は
もう中止しましょうと言っても、
患者さんが、ダメもとでも結構ですから
続けて下さいと懇願してくることが多いからです。

そのようなケースでは主治医も、
続けることでかえって悪くなるとわかりながらも、
患者さんの諦めたくないという気持ちを考え、
抗がん剤治療を続けてしまうことになります。

患者さんの気持ちを考えると、
ある意味やむを得ないと思うのですが、
その一方で、副作用の問題や
医療費の問題は深刻です。

副作用の問題はもちろんのこと、
本来使うべきでない高額の抗がん剤を使うことで
医療財政はさらに圧迫され、
これが続けば国民皆保険制度の崩壊を
招かざるをえないという危険性をはらんでいます。

そのような思いもあり、
私は患者さんの希望を支える目的で
治療を続けるのであれば、
抗がん剤を使用するよりも、
安価で副作用のない丸山ワクチンなどを
使った方がよいのではと思っています。

皆さんはどう考えますか。