先日、名古屋国際会議場で開催された
心身医学会に行ってきました。

私が心療内科医でよく発表していた頃は、
心理療法に関するシンポジウムや発表が
結構あった気がするんですが、
今回はほとんどなく、
ちょっと寂しさを感じるとともに、
時代の流れというか、
心理療法の栄枯盛衰を感じずには
いられませんでした。

それはそうと、学会では様々なテーマの
教育講演やシンポジウムが開催されます。

その中で、
ワークショップ「人生の最終段階のケアに対して
心身医学はどのような貢献ができるのか」
に参加してきました。

いくつか興味深い話を聞いたので、
今回はそれについて紹介させて頂きます。

まず遺族ケアについてですが、
配偶者を亡くした遺族に対して、
慰めたり、励ましたりしてあげたいとか、
色々と手助けしてあげようと思う人は
とても多いと思います。

もちろん、よかれと思って
することだとは思うのですが、
ある調査によると、
遺族へのこうした援助の8割は
実は遺族にとって
有害に作用しているというのです。

また、いろいろな声かけもすると思うのですが、
それがつらかったと感じている遺族が
67%もいるというのです。

例えば、
「時間が解決してくれるから」
「あなたの気持ちはよくわかる」
「あなたのせいではないから」
「早く元気にならなきゃ」
といった言葉は、
配偶者を亡くして間もない遺族にとっては
かえって気持ちをつらくする言葉なのですが、
実際には、そのことを知らない人の方が
圧倒的に多いかと思われます。

このような援助のことを「有害援助」と言い、
遺族にとっては役に立たないどころか、
かえって落ち込ませてしまう援助だというのです。

心理療法やコミュニケーションに長けている人は、
決してこんなことは言わないでしょうが、
一般の人は、これらの励ましや援助が
有害だと言うことすら
気づいていないというのがほとんどです。

ではどうしたらいいのかということですが、
ひと言で言えば、共感的に支えてあげたら
それで十分ということでした。

なんとかしようなんて思う必要はないのです。
時々、そっと寄り添って傍にいてあげる、
そんなことだけで十分です。
余計な言葉かけなどは不要なのです。

ただ、当たり前のことですが、
実際には人それぞれ違います。
頑張れと言ってもらうことで
元気になれる人もいれば、
そんなことできるわけないと思って
落ち込む人もいます。

ですから、画一的な対応や、
こうしたらよいという絶対的な方法など
実はありません。

本来は、相手の反応を見ながら
一人ひとり対応を変えていく必要がありますが、
実際にはちょっと難しいかもしれません。

最も無難な声かけは、
「つらいですよね」といった共感的な言葉かけが
ちょっとわざとらしく聞こえたとしても
有害になることはまずありませんので、
その意味で安全かもしれません。

同じ援助をするならば、有害援助ではなく
有用援助をしたいものです。