前回はブリーフセラピーの根底に横たわる考え方、
つまり、「今ここ」で「できること」をやる、
ということについて紹介させて頂きました。

今回は、ブリーフセラピーの根幹をなす
もうひとつの視点について紹介させて頂きます。
それは無意識の力に焦点を当て、
その力を最大限に利用するという考え方です。

無意識には、今までの人生で得た知識や経験が
蓄えられています。
私たちが日常において
物事を判断したり行動したりする場合、
それらはすべて無意識に蓄えられた情報をもとに
行われています。

特に習慣的に行うことは
全て無意識の力によって動いています。

例えば、朝起きて、先ずはトイレに行こうか、
それとも歯を磨がこうかと、
意識的に考える人はほとんどいません。

他のことを考えていても、
いつもと同じように
からだは勝手に動いてしまい、
トイレにせよ歯磨きにせよ
自ずと行動してしまうのです。
これが無意識の力です。

仕事ができる人や一流のアスリートは
やるべきことの多くを習慣化しています。
だからこそ、あまり迷うことなく、
次から次へとやるべきことを
淡々とこなしていくことができるのです。

また、感情のコントロールや
ものの見方、考え方もある程度までは
習慣化することが可能です。

習慣化できれば、
不安や緊張、怒りといった「感情」、
さらにはクヨクヨ考えてしまうとか
自分に自信が持てないといった「思い」も
コントロールできるようになります。

この無意識の力を最大限に活用するためには
クライエントの自己効力感を使います。
自己効力感とは
「自分もできるんだ」という感覚であり、
これは自己肯定感にもつながっていきます。

この自己効力感を引きだすために、
過去の成功体験を引きだしたり、
未来に小さな成功体験を作ったりします。

そのような成功体験の積み重ねが、
自己効力感につながり、
これが無意識の力を高めていくことになります。

つまりクライエントの無意識に
さりげなく働きかけることで、
知らず知らずのうちに
自己効力感を高めてしまうような
そんなアプローチをしていくのが
ブリーフセラピーの特徴だと言えます。

もちろん、意識に働きかけ論理的に説明をして
さあ、やってごらんと言って、やってもらい、
それで成功体験を積むことも可能ですが、
それができるのは、
もともと前向きな傾向を持っている人です。

自分はダメだ、自分は何もできないと
思ってしまっているような人には
理屈っぽい説明や説得といった
意識に働きかけるアプローチは全く入りません。
だからこそ、それとはなしに無意識に働きかける
ブリーフセラピーが威力を発揮するのです。

ブリーフセラピーでは、
どのようなタイプの人であったとしても、
知らず知らずのうち
肯定的な面に目を向けてしまうような、
そんな質問をうまく組み入れながら
アプローチしていくのが特徴です。
(質問の詳細は4月13日のブログ参照)

このように、無意識に働きかけ、
無意識の力を最大限に利用する、
そんなアプローチをするところに、
ブリーフセラピーの魅力があると
私は思っています。