人の話を聞いて、
それに対してどのような反応を返すかによって
相手をホッとさせることもできれば、
逆に落ち込ませてしまうこともできます。

それはクライエントとの信頼関係を
うまく作れるか否かにも大きく影響するため
どのような反応を返すかは
コミュニケーションにおいてとても重要です。

例えば、今いかに辛い状況で苦しんでいるのか、
そんな話をクライエントがしたとしましょう。
それに対して、
「それは辛かったですね」といった
反応を返すのはごく一般的です。

さらに、「そんな辛い状況で、
今までよく頑張ってこられましたね」と
言ってあげると、
クライエントの信頼感は一気に高まります。

なぜならば、この言葉には
その人が、辛い状況にいること、そして
そんな中でも頑張っているということを
認めるメッセージが入っているため、
クライエントからすれば
「自分のことをわかってくれた」と
強く感じるからです。

逆に、「辛いとは思いますけど、
あなたなら絶対に乗り越えられるはずだから、
頑張って下さい」などと言われると、
クライエントをどっと疲れさせることになり、
同時に信頼感も失いかねません。

なぜならば、このような反応を返すと、
頑張りが足りないからもっと頑張れという
メッセージを送られたように聞こえてしまうため、
クライエントは自分のことを
わかってもらえていないと感じてしまうからです。

そのため、適切な反応を返すこと、
つまり「反応力」があるか否かが、
クライエントとの信頼関係の構築に
大きな影響を与えるため、
カウンセリングや心理療法では
極めて重要になってくるのです。

信頼感を高めるための反応の返し方には
他にも「同意」や「許可」、
「ノーマライズ」といったスキルがあります。

例えば、クライエントが
「怒ってしまった」という話をしたとしましょう。

それに対して
「そんなこと言われたら怒りますよねえ」と返せば
「同意」になりますし、
「そんなこと言われたら、
誰だって怒りますよ」と返せば
「ノーマライズ」になります。
さらに「そんなときには、怒ってもかまいません」
と返せば「許可」になるといった具合です。

このような反応を返すことにより
クライエントは自分のことを
わかってくれたと感じ、
同時に安心感や信頼感を抱くため、
セラピストとの信頼関係を
構築しやすくすることができるというわけです。

では、この「反応すること」と「共感」とは
同じものなのでしょうか。
私は、この両者は似て非なるものだと思っています。

共感は信頼関係をつくる可能性があると同時に
先週のブログでも述べたように
「巻き込まれる」危険性も持っています。
一方、反応力は
反応を返すことに重きをおいているため、
客観的な視点も持ちながら
話を聴く必要があるので
巻き込まれるということはありません。

いつも、クライエントはどの部分に
同意や許可をしてもらいたいと
思っているのかを考えながら、
最も効果的だと思われるところに対して
反応を返すわけです。

ノーマライズも同様です。
どの部分に反応を返してあげれば、
「自分だけじゃないんだ」という安心感を抱き、
「よかった」と思ってもらえるか、
そんなことを考えながら話を聴きます。

つまり、常に「頭」を働かせ、
客観的な視点を保ちながら話を聴くため、
クライエントに「巻き込まれる」ようなことには
ならなくてすむというわけです。

共感することも反応を返すことも
共に信頼関係を築くための大切なスキルですが、
どちらがより有用かと聞かれたら、
私は迷うことなく「反応力」だと答えます。

みなさんはどう思われますか。