クライエントの話しを傾聴し受容し、
ときに共感することは大切ですが、
話を聴くことに一生懸命になりすぎると、
つい「巻き込まれ」てしまうという状態に
なることがありまり、
これはしばしば問題になります。

クライエントの話しを聴き、
よい意味でも悪い意味でも
つい感情が動いてしまい、
振り回されてしまう状態が
「巻き込まれる」ということです。

例えば、身勝手な自己主張を繰り返したり、
ハチャメチャなことを言い続けるクライエント、
明らかに自分と合わないと思うようなタイプの
相手と話をする場合に
この「巻き込まれる」という状態になりがちです。

巻き込まれているときのひとつのサインが
セラピストの感情です。
クライエントの話しを聴きながら、
セラピストに
怒りや不快感といった感情が生じたならば、
これは巻き込まれかけているサインです。

このまま話を聴き続けたり、
クライエントの発言に
コメントやアドバイスをしたりすると、
その状況はさらに悪化し、
最終的には怒りを爆発させてしまったり、
混乱して、ときには泣き出すセラピストもいます。

こうなると当然、
カウンセリングや心理療法は成り立ちませんので、
面談は何かしらの形で
強制終了ということになります。

ではなぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
それは相手の話を「心」で聴いてしまうからです。

人の話を聴く限り、ましては悩みを聴こうとする場合、
当然のごとく、傾聴や受容、共感といった態度が
大切になりますが、
これはあくまでも、一般的なクライエントの場合です。

中にはちょっと強引だと感じるクライエントや
どうしても相性が合わないクライエントが
少なからずいるものです。

そのようなクライエントの話しを
普通に聴いてしまうと、
どうしても怒りや不快感といった感情が
生じてしまうのです。

セラピストも人間である限り、
クライエントの反応に対して
感情が動くのは当たり前のことです。

しかし、感情が動いてしまったがために、
クライエントとの関係性が悪くなったり、
カウンセリングが
成立しないような状態になってしまうのは
やはりプロのセラピストとしては失格です。

ここで重要になってくるのが
クライエントの話を聴く場合、
「心」を切り離し、「頭」で聞くという姿勢です。
これが、厄介なクライエントに
巻き込まれないための最大のポイントです。

「頭」で話を聞く限り感情は動きません。
あくまでも客観的に淡々と話を聞き、
ときに冷静な視点から
コメントやアドバイスをすることもできます。

人を巻き込むタイプのクライエントと関わる場合、
つまりセラピストが不快感を覚えやすい相手の話を
聴かなくてはいけない場合は、
自分の感情を切り離し、
「頭」で聴くことに徹しないと、
つい巻き込まれてしまうことになります。

「頭」で聴く続ける限り、
現状を冷静に分析できるので、
今何をしたらよいのか、
どのようなことを言ったらよいのか、
どうしたらこの場をうまく治められるのか、
そんなことを考えながら
淡々と話を進めていくことができるのです。

もちろん、そのような状況であっても
信頼関係を作る必要はあるので、
それ相応の対応は必要です。
その際ポイントとなるのが反応力です。
共感力ではなく反応力です。
(反応力に関してはまた別の機会にお話しします)

こちらの反応の仕方いかんで、
クライエントに信頼してもらうことは可能ですし、
そのような対応なくしては、
巻き込むタイプのクライエントとは
上手にやっていけません。

クライエントの思いに
寄り添っているという形を取りつつ、
実は主導権をセラピストが握っているという形を
作る必要があるのです。

そのように、相手の出方を冷静に観察し、
話の方向性をどのように持っていくか、
どうしたらクライエントに満足してもらえるか、
そんなことを「頭」で考えながら、
コミュニケーションを図るという姿勢が
巻き込みタイプのクライエントには
必要になってくるのです。