医療の現場では、何か病気や症状があると
その原因を見つけ、それを取り除くことで
病気の治療を行おうとします。

例えば肺炎や結核になれば、原因菌を同定し
その菌にあった抗菌剤を投与すれば治療できます。

しかしその一方で原因がはっきりしないものや
原因を見つける必要がない病気や症状も
たくさんあります。
一般的な風邪や胃腸炎などはその代表例です。

風邪をひき、熱や咳があっても
その原因となっているウイルスを調べることは
通常はありません。

なぜならば風邪のウイルスがわかっても、
それに効く薬はありませんし、
第一、そんなことを調べている間にも
体に備わっている免疫系、
つまり自然治癒力の働きにより、
ウイルスを積極的にやっつけてくれるので、
風邪は自然とよくなってしまうからです。

だからこそ、風邪などの場合は
わざわざ原因などを見つけなくても
勝手によくなってしまうため、
あえて原因がわからなくても
何ら問題はないのです。

こう考えると、あたかも
原因を見つけ、それに対処すればよくなる場合と、
自然治癒力の働きだけでよくなる場合の
二通りがあるかのように思うかもしれませんが、
実際はそうではありません。
当然のことかもしれませんが、
すべての場合に自然治癒力が必要になります。

例えば結核について考えてみましょう。
現在では結核菌に有効な抗菌剤があるため
結核で亡くなる人はかなり少なくなりましたが、
昭和25年までは死因の第一位でした。

ところが抗菌剤が開発される前までは
どうだったのでしょうか。
結核にかかると多くの人が亡くなりましたが、
しかし何割かの人は回復しています。

当時の結核の治療は
安静と栄養、衛生の確保だけでした。
しかしこれで治る人が確実にいます。
それはなぜか。
それがまさに自然治癒力の力です。

肺炎にしろ結核にしろ、
もしも自然治癒力がない、あるいは、
極めて低下した状態であったならば、
たとえ抗菌剤で菌をやっつけたとしても
菌をゼロにすることはできないため、
すぐにまた悪化して、
最終的には亡くなることになります。

逆に言うと、抗菌剤で
ある程度菌を叩き、少なくしてくれたおかげで、
あとは自然治癒力の力だけでも
残った菌をすべて駆逐することが
できるようになるというわけです。

そういう意味では、どんな病気でも
自然治癒力があってこそ、
初めて病気が治るというわけです。

ですから、
自然治癒力だけで十分に対応できる場合は、
余計なことをせずに治るのを待ち、
薬や手術、適切な処置があってこそ
自然治癒力の力を最大限に発揮できる場合には、
当然、西洋医学の力を借りることになります。

ただ、今の病気や症状がどちらの場合なのか
明確に区別することが難しい場合も
少なくありません。

私はどちらかと言えば自然治癒力派ですが、
極端な自然治癒力派の人たちは
西洋医学や薬を悪いものと決めつけ、
治療を拒否する傾向にあります。

一般的な病気の場合は、
それでもさほど問題にはなりませんが、
がんなどの重大な病気の場合は、
かなりのリスクを伴うことを
覚悟しなくてはなりません。

私としては、
基本的には自然治癒力のみで対応し、
それでも不十分だと思われた場合、
つまり自然治癒力だけでは
なかなかよくならないと感じた場合には、
時期を見計らって西洋医学的な対応をしてもらう、
そんなかかわりがよいのではないかと
思っています。

皆さんは自然治癒力派ですか、
それとも西洋医学派ですか?