カウンセリングにおいて
クライエントとの信頼関係を築くことは
とても重要なことですが、
そのテクニックのひとつとして
「オウム返し」があります。

これはクライエントの言った言葉を
そのまま言い返すテクニックです。
例えば、「人に誤解されて辛かったんです」と、
クライエントが言ったならば、それに対して
「人に誤解されて辛かったんですね」と、
応えるといった具合です。

人は、このように自分が言ったことを
あらためて言葉に出して言ってもらうと、
自分のことをわかってもらえたと感じるため、
その人に信頼感を抱くようになります。

そのため、「オウム返し」のテクニックは、
カウンセリングの基本として必ず学ぶものであり、
ほとんどのカウンセラーは、
この手法を使っていると思います。

ただ、私はこの「オウム返し」に
以前から違和感がありました。
その違和感を一言で言うならば
「わざとらしい」ということです。

もちろん信頼関係を築くためのテクニックとして、
ただ単に頷きながら話を聴くよりも、
言った言葉を同じように返す方が心理学的に
ずっと効果的であることは十分に理解できますが、
しかし実際の場面では、
そう理屈通りにはうまくいかないのが普通です。

「オウム返し」を
ここぞというときにだけ使うのであれば
それはとても有効なことかも知れませんが、
何でもかんでも「オウム返し」をしていたら、
普通の人であれば途中で、
「あれ、この人、自分の言っていることを
繰り返しているだけだ」と気づかれてしまいます。

今までは、
「自分のことをわかってもらえた」と
思っていたのに、
それに気づいた瞬間、
そうではなかったことを知ることになります。

たとえクライエントの話しに
十分共感できていたとしても、
クライエントからすれば、
繰り返しているというパターンを垣間見た瞬間、
トリックがわかってしまったマジックのように、
一気に興ざめになってしまうのです。

まさに信頼関係を築くための「オウム返し」が
信頼関係を壊す結果になってしまうのです。

そんなこともあり、
私はあまり「オウム返し」は使いません。
ただし、確認や要約はよくします。

例えばクライエントの話しを聴き、
「こうこうで、こんな事があったから、
こうだったんですね」といった具合です。

これは広い意味での「オウム返し」ですが、
マニュアル的でしつこい「オウム返し」とは
全く異なります。

相手の話をしっかりと聴き、
今言ったことの要点をまとめながら
クライエントに返すということをするため、
クライエントには
「自分の話をちゃんと聴いていてもらっている」と
思ってもらえるし、
また自分で言ったことをまとめてもらえるため、
クライエントの頭も整理されることになります。

このように確認や要約として返す方が、
しつこさもなければわざとらしさもないため
クライエントからすればずっと信頼感が持てるし、
話もとてもしやすくなるというわけです。

皆さんも、パターン化した「オウム返し」が
クセになっているとしたならば
ぜひ一度、再考してみて下さい。
それだけで、カウンセリングが
グッと洗練されますので。