あなたはある容れ物のフタに
「砂糖」と書かれたレッテルが貼ってあれば
その中身は砂糖だということがわかります。
かりに塩が混ざっていたとしても
レッテルを見て
砂糖だと思ってしまうことでしょう。

実は人に対しても同じように「レッテル」を
貼ってしまっている場合がよくあります。

「あの人は自分勝手だ」
「あの人は仕事ができない」
「あの人はちょっとおかしい」

これが「レッテル貼り」です。

このように人に対して
レッテルを貼ることはしばしばあり、
しかも一度そのようなレッテルを貼ってしまうと、
その人はただただ「自分勝手な人」としか
見えなくなってしまうのです。

実際には料理が得意だとか、
油絵を書く趣味があるといった側面を
持っているにもかかわらず、
そういった面には
全く目が向かなくなってしまいます。

このレッテル貼りは
医療の現場でもごく普通に起こっており、
それがときに大きな問題になったりもします。

例えば、こんなことがありました。
以前、心療内科に通院している患者さんがおり、
その人が、最近、よく胃が痛くなると言って、
内科を受診しました。
その医師はカルテを見て、
心療内科に通院中の患者さんだとわかると、
この胃痛はストレス性のものだと判断し、
簡単な胃薬を処方して
あとは心療内科で診てもらって下さいと言って
内科での治療を終了してしまいました。

それからしばらくの後、
その患者さんは吐血し、救急搬送されてきました。
検査の結果、
末期の胃がんであることがわかりました。

その内科医は、心療内科に通院中の患者だから
胃痛はきっと精神的なものに違いないと
思ってしまったのです。
まさにこれがレッテル貼りであり、
ときに、このような大きな問題を
引き起こすことになります。

このようにレッテル貼りは
私たちの日常の中でごく普通に行われており、
しかも無意識のうちにされることなので、
自分が相手に対して
レッテルを貼っているということにすら
気づかないのが普通です。

またそのレッテルがちょっとした誤解によって
貼られたものであれば
すぐさま剥がすことは可能ですが、
「あの人は変だ」というような
強い思い込みによるレッテルが
貼られてしまっている場合には
それに気づいたとしても
なかなか剥がすことができません。

そうかと言って、そのまま相手に対して
レッテルを貼りっぱなしにしていると、
ひどくストレスが貯まってきたり、
どこかでトラブルが起こるということにも
なりかねません。

では、そんなレッテルを
相手に対して貼ってしまっていると気づいた場合、
どのように対処したらよいのでしょうか。

その際大切なのはそのレッテルを
剥がそうとしてはいけないということです。
剥がせないものを剥がそうとすると、
そのレッテルにより一層意識が向いてしまい、
ますます剥がれなってしまうからです。

ではどうしたらよいのでしょうか。
それはレッテルを剥がそうとするのではなく、
肯定的なレッテルを
新たにたくさん貼ることを考えればよいのです。

例えば先程の
「自分勝手な人だ」というレッテルに加え、
「料理が上手」「ゴフルがうまい」
「パソコンができる」
といった新たなレッテルをみつけて
それをどんどん貼っていけばよいのです。

新たなレッテルの方に目が向くようになれば
自ずと「自分勝手な人」といったレッテルは
色褪せ目立たなくなってくるというわけです。

何はともあれ、
まずは自分がレッテル貼りをしていることに
気づくことが先決です。

あなたは、自分が嫌いだと思っている人に
レッテルを貼っていませんか?