もう20年くらい前になりますが、
脳内革命という本がミリオンセラーになりました。
これは、物事を肯定的にとらえ
明るい気持ちや前向きな気持ちを持つことで、
ホルモン系や自律神経系、免疫系が活性化され、
身体症状や病気も改善に向かうということを
医学的、科学的見地から
一般の人にもわかるように書かれた本でした。

巷間では話題になっている本でしたが、
私からすると全く興味が持てませんでした。
なぜならば、
明るい気持ちを持ったら
免疫力が上がるといった結果を言っているに過ぎず
どうしたらそのような気持ちに
なれるのかという方法論については
全く触れられていなかったからです。

これでは、いくら正しいこと言っていたとしても
現実には全く使えないし、何の役にも立ちません。

重要なのは、
どのような心の持ち方や考え方をするのかではなく
どうしたらそのような心になれるのか、なのです。

失敗して落ち込んでいる人に
済んだことなど気にせず、
前向きな気持ちを持つことが大切だとか、
嫌な人との人間関係で悩んでいる人に、
他人は変えられないので、
先ず自分が変わらなくては、とか言うのは、
どれもみんな正しいことを言っています。

しかしこれらは「実行不可能なことを、やれ」
と言っているようなものなので、
現場では何の役にも立たちません。

失敗しても気にせず、前向きに生きられる人は
もともと悩んだり落ち込んだりしませんし、
まず自分を変えようと思って実行できる人は
嫌な人ともうまくやっていけます。

私たちが知りたいのは、
「わかっちゃいるけどできない」
と感じている人に対して、
どのようなかかわりをすれば、
気持ちが変わるのかということです。

ではどうしたら、
目の前の悩み苦しんでいる人に、
肯定的な気持ちを
持ってもらえるようになるのでしょうか。

それは、ちょっと逆説的に聞こえるかも知れませんが、
前向きな気持ちや肯定的な気持ちに
なってもらおうなどとは決して思わないことです。

そのような思いを持って関わると、
どうしても理想の状態や
自分がイメージしているゴールに
引っぱろうとしてしまうからです。

そのような思いは
いつの間にか相手に伝わり、
それが知らず知らずのうち抵抗感を生み出し、
ついには信頼感を失うことにもなりかねません。

何とかしてあげたいという思いは空回りを生み、
結局は、相手を失望させて
しまうことになるのです。

ですから先ず重要なことは、
皆が正解と思っているような方向に
相手を引っぱろうとはしないことです。

その次に重要なことは、
相手の気持ちが自ずと変わるような
かかわり方をするということです。

それについては
7月22日のブログ
「教える」アプローチと「気づきを促す」アプローチ
に書いていますので、そちらを参考にしてください。

心の持ち方や考え方が大切だとよく言われますが、
それは単に理想の結果や正しい答えを
言っているに過ぎず、
いざ現場で実践する際には何の役にも立ちません。

ここが理想論や教科書的な話と
現場でのかかわりとの最大の違いなのです。