ブログ:「教える」アプローチと「気づきを促す」アプローチ

悩みや問題を抱えているクライエントが
その問題をどうして解決してよいのか悩んでいる場合、
どのようなかかわりをするでしょうか。

私の場合、
先ずは話をよく聴き、全体像をつかみ
その人にとって何が解決すべき本当の問題なのか、
どうなったらよいとその人は思っているのか、
といったことを明確にします。

その上で、問題を解決するための方針を立てるのですが、
その際大切になるのが
「教える」アプローチではなく
「気づきを促す」アプローチです。

例えば、些細な事がつい気になってしまうという
悩みを持っている人がいたとしましょう。
その人に対して、
「気にしないようにしましょう」とか
「他のことを考えるようにしましょう」とか
言ったところで、まずうまくいきません。

なぜならば、そんなことは言われなくても
わかっていることだからです。
だいいち、そう言われたからといって、
そんなこと実行できるわけありません。
できていたら、とっくのとうに
問題は解決しています。

このように「教える」アプローチは
往々にしてうまくいきません。

全く同じことを言うのですが、
それを本人に言ってもらうように
うまく質問をすると状況は全く違ってきます。

例えば「どんなことをしたときには
あまり気にならずにすみますか」とたずねるのです。

この質問をすることにより、
あまり気にならずにすんでいるとき、
つまり問題が解決しているときのことを
思い浮かべながら答を探すことになります。

しばらくあれこれ考えた後に
「好きなことをしているときには気になりません」とか
「そのまま放っておいたら
いつの間にか他のことを考えていることもあります。
といった答えが出てきます。

自分で言った答えは、
人から言われた答えとは異なり、
「あ、そうか」という気づきを伴います。

特に、思いもよらないことが口から出てきて
自分でも驚いたというようなことも
しばしばあります。
このような気づきが、人の心を変え、
新たな行動につながる原動力になるのです。

つまり、「教える」アプローチでは
わかっちゃいるけどやめられない
という状況を生むだけですが、
「気づきを促す」アプローチの場合は、
それが気持ちの変化や行動につながり、
問題解決へと進んでいく可能性が
ぐっと高くなるというわけです。

私たちはつい色々と
アドバイスや解決法を教えたくなります。
その人にとって目から鱗のアドバイスだったり、
思いもよらないアイデアを
提供されたりする場合は別ですが、
たいていの場合は
ありきたりのアドバイスをすることになり、
これは全く意味がないどころか、
期待を裏切られたという思いから
かえって落ち込ませてしまうような結果にも
なりかねません。

そうではなく、
本人に気づきをもたらすような質問をし、
本人に解決法を語ってもらう方が、
ずっと自然ですし、効果的です。

このような「気づきを促す」アプローチが
できる人とできない人とでは
同じようなことをやっているようでも
カウンセリングの効果に雲泥の差が出てきます。

皆さんも、教えるアプローチではなく、
気づきを促すアプローチを大いに利用して
問題解決に役立てて頂きたいと思います。

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